第12号で蛭特集を発信しましたら同時に3人の方からメールを頂きました。貴重なご経験なので
"特集 その2"としてお届けいたします。
最初は地元相模原市の後藤さんから
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私は長年丹沢を歩いて来てヒルに悩まされてきました経験からお便りします。丹沢通信の中で各氏が述べられていますが私なりに東丹沢に絞って付け加えてみたいと思います。
1、僕も宮が瀬周辺以外ではあまりみかけません。黒岩、一ノ沢峠、札掛あたりといったところでしょうか。
東丹沢ではほとんどの所に居るといっていいでしょう。たとえば鳥屋のコッコパークから先の全ての林道。左右の草むらに一歩立ち入ると必ずいます。このあたりの登山コースとしては(大平から姫次)。(鳥屋から焼山)。丹沢観光センターから(本間の頭)。伝導から早戸大滝を経て丹沢山。他に佛果山、(青宇治橋)から(高畑山)経ケ岳、一之瀬峠、(松茸山)(唐沢出合から物見峠)塩水橋から丹沢山。取り上げたらきりがありませんのでこのくらいにします。
ただし生息に条件があります。杉の木の多いところ。常に湿り気があるところ。海抜四百メートル以下のようです。また、民家の多いところでは比較的見ないようです。 ( )は特に多いところです。
2、「足元」と言ってしまえばそれまでですが、でも足元です。友人は首筋をやられてたみたいですが、
低木の枝などについていて人や動物がちかずくとぽとりと落ちてきます。靴についたら思った以上に早く上がってきます。踏み潰してもなかなか死なずに靴についてしまうのでやめたほうがいいです。木の棒などで落とすときは、落としたつもりでも木のほうへ付いてしまい知らずにいると手のほうへ移ってきます。
踏みつけただけで靴の裏に一瞬につきます。一度ついたら振り払ったぐらいでは落ちません。ヒルから三メートルほどになると人がきたのを体温か匂いで感知するようです。葉っぱの裏などにいたヒルがむくむくと動き出し立ち上がるようにしてふらふらと揺れながら方向を見定めています。
4、スパッツである程度防げるんじゃないかなぁ。持ってないのでわかりません
効果はありませんが少なくても足元から進入することは防げますです。首筋などにいずれ上がってきます。
足元にキンカンを塗るといいらしいですよ。虫よけはあまり効きません。
私も虫除けスプレーやトクホンも貼ってみましたがだめでした。トクホンの上に平気で乗っていましたから。一番効いたのはビールでした。あっという間に悶えて死にます。たぶんアルコールに弱いのだと思います。でも、とりついたヒルを殺す程度なので防止対策にはなりません。
水蛭では無理に剥がそうとすると皮膚を傷つけると聞きましたが山蛭はおとなしく剥がれてくれます?
少し剥がしにくいですが、見た瞬間はびっくりしてしまいます。その時は痛くも痒くもないので慌てないことです。(でも必ず慌てますね)程度により一ヶ月から三ヶ月ぐらい痒みが残ります。
これはわたしの推測ですが、丹沢ですとシカと関係していると思われます。
三十年程前は一部の限られた場所だけに生息していましたが今は鹿の立ち入る場所には必ずヒルが居るといっていいでしょう。酸性雨や環境の変化もあるという人もいますが、私はやっぱり鹿が運んでいるのだと思います。山で仕事をしている人に聞きましたがいつも十匹ほどたかられるのはあたりまえと聞きました。対策はないのでやっていないと言っていました。
私が山歩きのときは小さな鋏をぶら下げています。とりついたらチョン切ってしまう。これが一番手っ取り早いです。他の対策はしていません。ちなみに私のホームページ
user2.allnet.ne.jp/gotoh-123/
「丹沢湧水探検」の中でも山ヒルのことを少し書いています。アクセスして頂ければ嬉しいです。
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山仕事の方が対策なしと言われてはお手上げですね。
蛭とビールと鋏・・・ウーム ビールは人間にもよく利きますが。
後藤さんのホームページを拝見していましたら早戸大滝をハイキングコースとして道順やコースの写真などを紹介されていました。
次は新倉さんからです。
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NO11に蛭について載っていましたので気がついた事をメールいたします
1.丹沢でほかに蛭はいるのか? いるならその地域は
2.蛭の潜んでいる場所は? 草むら、落ち葉の中?
3.「蛭注意」とあったらどんな注意を?
4.(前問と関連しますが)蛭対策は? スパッツで防げるか?
5.その他気づかれたことなど。
- 丹沢で蛭を見たのはキュウハ沢の入口で15cm位の大きな蛭を見た事はりましたが他では知りません。ただ最近は丹沢は余りあるいていませんが。
- 私の良く歩く房総では春から晩秋までは山蛭が多くこの時期に場所を選ばないと大変です。多い場所では地面が揺らいでいる様なかんじです。主に落ち葉の裏側に潜んでいるようです。
- 4.
スパッツを着けるとすこしは違いがありますが注意していても無駄のようです。時々靴下の中を覗いて蛭をとり除く位です。地元の方は家の周りに塩をまいています。
- 房総の山も今まで蛭がいなかった所でも見かけるようになりました繁殖場所を広げている原因の一つが鹿が増えている事でしょう。(体に付いて移動)グループで歩いていると蛭に付かれて靴下を赤く染めてしまう人もいればなんとも無い人もいます。蛭に噛まれると数週間痒いと言っている人もいれば後遺症が無い人もいます。
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多い場所では地面が揺らいでいるような・・・想像するだけで恐ろしい!
蛭に天敵はいないのでしょうか。
最後は京都の森京子さんからです。森さんの自然観察の大好きな知人からの経験談です。
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「柳生街道の蛭 梅雨時の自然観察会で」
奈良公園の春日大社の背後には鬱蒼としたナギの木の原生林が広がる。ナギは常緑で神社にはよく植えられる聖なる木である。その葉は樹木としては珍しく葉脈が笹の葉のように平行で、普通見られるような網状ではない。
また、葉の付きかたは対生である。青い実は15mmくらいでまんまるである。樹皮はカリンの樹皮とよくにて丸く剥げ落ち、その部分が異様に赤い。鬱蒼として暗い中でみるその赤い斑は不気味でもある。
その林を貫くように柳生海道は東へ東へと伸びている。十年位前のNHK大河ドラマ『春の坂道』の舞台である。道幅は狭く、人がやっとすれ違うことができる程度である。10cmから20cmくらいの石を敷き詰めてあり、ローマに続くアッシジ街道のようである。
ナギ林を抜けると石畳もなくなり、荒れ果てた杉林の二次林で笹が生い茂り林床は殆ど見えない。梅雨の晴れ間ではあったが、途中俄雨に出会い、笹の葉と杉の落ち葉が踏まれた道はぬかるんでいた。
ふと見ると前に歩いていた仲間の男性のおろしたての真っ白いズボンの裾が真っ赤である。笹で足元を切ったのかと思い良く見て見ると蛭である。その時上からばらばらと何かが落ちてきた。蛭だ。蛭の総攻撃だ。
よくよく地面を見て見ると、垂直に真っ直ぐ体を伸ばしている蛭もいる。と、ビュンと上をめがけて飛んだ。筋肉の瞬間的な収縮で、蛭は下からも跳んで来るのだ。
私の首筋が妙な感じがするので、擦ってみると血がでている。私もやられたのだ。蛭は肌に食らいつくと血液凝固防止剤を注入する。だから食われるとゆうに一時間は血が止まらない。痛みはぜんぜんないので、他人でないと吸われたとは気づかない。だから、その間食い放題のみ放題なのだ。他の人から見ると血だらけなので何事かとびっくりする。
しかも蛭の吸い口は釣り針のような返しがあるので一度食らいつかれると払ったくらいでは落せない。煙草の火を押し付けるのがいいと聞いたことがある。
蛭の防ぎ方
- 何と言っても肌を露出させないこと。蛭の入り込む隙間をなくす。
- 女性用ストッキングは蛭が吸い付こうとしても繊維が邪魔して吸い口から空気が漏れるので吸い付けない。ただし、外国では腹をすかした蛭がやせ細りストッキングの網目を通り抜けてしまい、吸われたという例がある。ちなみにその蛭はたらふく血を吸ったため、まるまると太り網目から出られなくなり御用とか。
- 上記理由によりスパッツは隙間なく装着すれば有効。
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丹沢の蛭の話から房総や奈良まで広がりました。これでは全国版ですね。
森さんは丹沢を丹澤と書かれ、「歌の丹澤」から「私の丹澤」に思いを馳せて美しい文章を寄せられています。
私はこの歌を40年前京都在中のとき、労音で聞いたことがありました。そのころは登山も丹沢も知りませんでしたが、歌を聞いて初冬の荒々しい山の印象が残っております。
このマガジンを美しい歌詞で結ばせて頂きます。
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はじめまして、森と申します。
私は近畿在住で、丹澤には行ったことはありません。
でも、いつか登れたら・・・と夢の一つです。
蛭のお話しをメールさせていただくと共に、私の中の「丹澤」をご紹介させてください。
歌が好きで、ある曲を聴いてから丹澤のイメージがどんどん広がっています。
信時潔(1887-1965)作曲/清水重道(国文学者)作詞
歌曲集「沙羅」の中にある「丹澤」です。
素朴で剛健質実、明治の気風がそのまま反映しており、けっして油絵でなく、水彩画、淡彩画、水墨画のような曲です。
この歌詞にでてくる風景が大好きなのですが、親しんで22年たってやっと、いつか実際に登ぼれるのでは?と気がつき、楽しみにしています。
今春、チャンスが出来かけたときに、「丹澤を歩く」フルカラー特選ガイド 山と渓谷社
この本を買ったのですが、未決行となり、また、なかなかどのルートなのか?まで本を読めていません。
北八ヶ岳には毎年行くのですが、まだ距離的にここが限界です。
もしも、歌詞から簡単にお分かりになるコースでしたら、教えてくださいませんでしょうか?
枯れ笹に陽(ひ)が流れる、背に汗
うらと雲さへも、冬なのに
尾根長く檜洞(ひのきぼら)こえて響く澤おと
どの山も崩土(がれ)の色だけは凍ててゐる
塔のむかふ町並光らせて秦野
見やる天城も明るい草附き
雪の来ぬ冬山のくぼに煙草吸うて見る
ひとり
伴奏のピアノが、陽、時の流れ、沢音、凍てつく様子、鼓動の高まり、見おろす風景、静かな時、煙草の煙のひとすじ、これらを表しています。
合唱曲にもなって、故、木下保氏の指導から演奏(東京混声合唱団)までのFM放送を22年前に録音して以来、虜になっています。
死ぬまでに一度は行きたいところでデス。
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