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伊藤忠夫氏による卵形曲線の方程式

伊藤忠夫 氏(奈良県生駒市在住),  山本信雄

   「卵形線」の数学的な定義は Ikuro 氏のサイト 「デルトイドの幾何学(その9)」の冒頭に書かれていますが、 ここでは、現実の鶏卵に近い形を与える曲線の方程式を追求し、その曲線を暫定的に「卵形曲線」と呼ぶことにします。
    伊藤氏の発案よる新たな卵形曲線について、氏より報告が寄せられました。 氏のご了承の上に、メールで戴いた資料をもとにして、山本が計算を進め、再構成してみました。
    なお、卵形曲線を表す方程式は、意外にもそう簡単には見つかりませんので、本稿もまた一つの貴重なものとなるでしょう。
    このページのお問い合わせは、伊藤氏のメール t_ito@kcn.ne.jp になさるとよいでしょう。 伊藤氏は「トーラスの測地線」のページにもコメントを書かれています。
    本方法の発展形が The Egg Equations にあります。
    また、本方法ついて   Twitterデフォルトアイコンの卵を表す方程式が判明(?),     同(アーカイブ版) があります。 さらに、本サイトは   GENERATING AVIAN EGG USING RATIONAL BEZIER QUADRATIC CURVES 、   The Egg Equations に紹介され、 Natural Aesthetic Curves for Design の論文に引用されています。

    以上、上記のサイトや論文に紹介・引用された本サイトの著者名が「伊藤忠夫」、「伊藤忠夫、 山本信雄」、「Tadao Itou」、「Tadao Itou & Nobuo Yamamoto」、「Itou & Yamamoto」となっていますが、本サイトのアドレスが古い順に「Http://www16.ocn.ne.jp/~akiko-y/Egg/index_egg_by_Itou_E.html」、 「http://www.geocities.jp/nyjp07/Egg/index_egg_by_Itou_E.html」、「http://www.geocities.jp/nyjp07/index_egg_by_Itou_E.html」 を経過して現在の本サイトのアドレス「http://nyjp07.com/index_egg_by_Itou_E.html」になっています。
    古いアドレスは使えませんが、無料の インターネット・アーカイブ検索(Internet Archive)古いアドレスを検索すると、保存されていた当時のサイトが現れる可能性があります。


1. 平面位相角 θ を媒介変数として表示する卵形曲線


図1 伊藤忠夫氏発案[(1)式]の卵形曲線。
ただし、-π≦θ≦π の範囲

   提案の卵形曲線の方程式は、平面位相角 θ を媒介変数として次のように表します。
                     .                        (1)
    の場合につき, の値をいろいろ変えて (1)式をコンピュータで計算させてグラフに表すと,図1のようになります。

    のときの卵形曲線と山本の卵形曲線 (こちら 卵形曲線 を参照) とを比較すると図2のようになって、両者ほとんど一致します。 ただし、比較のため、前者は 方向に の値だけ平行移動させています。

    (1)式における の定義範囲を除外して広範囲 (実際には、 で すべての に対する曲線が含まれます。)に設定すると、 (1)式を表す曲線は図3のようになります。ただし、 かつ、 の場合を例に示します。この外周が図1の卵形曲線となります。

    なお、この卵型曲線について興味ある報告があります。 (こちら 参考 を参照


図2 伊藤氏の卵形曲線(Itou's)と山本のそれ(Yamamoto's)
との比較。ただし、比較のため、伊藤氏のはx方向に
a(=0.5) の値だけ平行移動させた。


図3 伊藤氏の卵形曲線[(1)式 ]で、
θ のすべての範囲を示した場合
各カーブ a, b, c, d については本文を参照のこと。



図4  のときの卵形曲線
(ピンク色のカーブ)と現実の卵の形との比較

    かつ、 のとき (一般的条件は、)が最も現実の卵に近いようです。 これを図4に示します。

    図3の各カーブ a, b, c, d は、以下に示す の各範囲に対応します。
                  ,           (2)
ただし、n は整数。

    (2)式の表示ではよく分からないので、n=0 として示しますと次の範囲になります。
                  .           (2)'

    しかし、(2)'式の各範囲は複雑に交差しながら重複しているので、未だよく分かりません。 そこで、重複しないように真ん中の範囲のみを抜き出すと、次の表示になり、スッキリします。
                  .           (2)''

    (1)式を数値計算して図1の卵形曲線群を得るための C++ プログラムはこちら 卵形曲線群の計算プログラムです。 画面表示のプログラムをマウスでドラッグしてコピーを取ると、自由にご利用できます。
    また、=0.5, =0.37 の場合の 1個の卵形曲線を得るための C++ プログラムはこちら 1個の卵形曲線の計算プログラムです。 このプログラムで、定数 , の数値を変えることにより卵形の形を変えることができます。 付け足しとして、 図3の卵形原型曲線を得るための C++ プログラムはこちら 卵形原型曲線の計算プログラムです。
    次に、 C++ システム・ファイル上の「ファイル」の中の 「新規作成」をクリックすると、編集画面が現れますが、 この画面に上記コピーしたプログラムを貼り付けます。場合によっては編集も行います。そして、 「ビルド」をクリックすると実行ファイルが作成されます。 さらに、「実行」をクリックすることにより、上記どちらのプログラムでも、 「egg_shaped_curve.txt」という名のテキストファイルが作られて、 計算されたデータ(卵形曲線上の各 x-y 座標点の座標データ)が格納されます。
    次に、このテキストファイルに格納されたデータをエクセルファイルに移し変えます。それには、エクセルファイルの 「外部データの取り込み」機能で行います。 ただし、ここに紹介した計算プログラムの場合、テキストファイルに保存される データ間の仕切りはカンマ()で指定してありますので、 「外部データの取り込み」にはこれを選択します。
    最後に、エクセルファイルに移された各列の x-y 座標データ全てをドラッグした後に、エクセルファイルにある 「グラフ ウィザード」をクリックして、 その中の「散布図」を選び、スムーズなカーブになる絵図をクリックすると卵形曲線が描かれます。
    なお、図3の曲線を得るためには、プログラムの中の の掃引を -2π から +2π の範囲に拡大するとよいでしょう。

[参考] 図3の曲線を表す の関係式

    (1)式の各式を2乗すると、
            ,           (3)    および、             .           (4)
三角関数の公式を(4)式に適用すると、
            .
上式に(3)式を代入して、
            .
上式を整理すると、
            .
上式両辺の2乗を取れば、
            .
三角関数の公式を上式に適用すると、
            .
これに(1)式を代入して、
            .
上式を整理して、見やすい形に整えると、
            ,              (5)
のような5次方程式が得られ、これは、山本の卵形曲線 (こちら 卵形曲線) の(9)式より次数が1つ増えて、より複雑になります。


2. 擬球を斜めに平面で切った断面の卵形曲線  (伊藤氏記)


    直円錐を斜めに平面で切ると、その切り口は卵形になるように思えますが、実際は楕円になります。これはよく知られています。

    双曲幾何をユークリッド世界で実現できる擬球というものがあります。それは回転面ですが、 円錐ではなくて裾の広がったスカートに似ています。ですから、擬球を斜めに平面で切れば、その断面は卵形になるはずだと思われます。 実行してみると、図5に示すように、確かに卵形が得られます。


図5 擬球を斜めに平面で切った断面の卵形曲線

    図5において、2つの曲面
       平面: 
       擬球: 
                              
                              
の共有点をなぞればよいと考えて、 を変化させ
                               (上と同じ)
                              
                              
によって描いたものです。ソフトは Visual Basic です。

    課題は、擬球から得た卵形曲線を平面座標で
                  
のように表す式を求めることです。



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Updated: 2008.3.25, edited by N. Yamamoto.
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